金田一秀穂氏に聞く!SNSやトークアプリが作文力を低下させる理由

小学生が携帯電話を持つことが一般化しつつある現代。

コミュニケーションの手段として、メール、トークアプリ、SNSを活用するなど、小学生たちの“デジタル化”は進行中だ。

しかし、こういったオンライン・コミュニケーションに依存することが、子どもたちの「作文力」に悪影響を与えると警鐘を鳴らす人物がいる。杏林大学外国語学部教授を務める、金田一秀穂氏である。

SNSやトークアプリに潜む落とし穴…

金田一「トークアプリは、読んだらすぐに返事をしなければならないツールなので、じっくり考えて文章を書いているわけではないんです。ですから、トークアプリは文章を考える力を養うことができません。そしてトークアプリでの会話は、ほとんどが短文です。こういった短文コミュニケーションに慣れてしまうと、いざ長文を書こうと思っても書けないのです。」

それでは、SNSで長文を書くことは、こういった問題をカバーできるのだろうか?

金田一「確かにSNSは、ある程度の長文を作成することになりますね。しかし、意外な落とし穴があるのです。SNSはあくまでも“友達や知人向け”に書くもの。しかし作文は、不特定の人に読ませることが多いですよね。読み手が特定できないという状況だと、途端に文章を書けなくなってしまう子も多いのです。」

では、作文に苦手意識を持ってしまった現代の子どもたちは、どうしたら良いのだろうか?

読んで欲しいと思う相手を思い描く

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金田一「作文が難しく感じる理由は、読み手が特定されていないから。SNSのように、明確な読み手を想定して書けばいいんですよ。例えば作家の井上ひさしは原稿を書く際に、机に上に自分の作品を読んで欲しいと思う文豪たちの顔写真を並べていたというエピソードもあります。」

お母さんに読んでもらう作文、お友だちの●●ちゃんに宛てた作文、大好きなヒーローに読んで欲しい作文…。

そして学校の課題である作文の読み手は「先生」。先生が相手では緊張して上手に書けないという子は、先生へお手紙を書くような気持ちで進めてみると良いそうだ。

金田一「作文は書けないけれど、『先生へのお手紙』だと思えばすらすら書けるという子も意外と多いですよ。」

まずは読み手を特定して書くことから始めて、徐々に読み手の幅を広げていくという練習をすれば良いのだ。

混沌とした世の中を生き抜くために作文力を

05.jpg近年はSNSを通した事件も多々あり、こういった面でもオンライン・コミュニケーションに不安を感じている保護者が多いかもしれない。

「もし変なメールが来ていたら?」

「ネットの情報を鵜呑みにして、おかしな事件に巻きこまれたりしたら?」

しかし金田一氏は、作文力のある子は、こうしたメールや情報を見極める力を持っていると言う。 

金田一「自分できちんと文章が書ける子どもというのは、“言葉を判断する能力”も磨かれています。その文章や情報が、本物か本物でないかを判断することができるんですね。」

今の混沌とした世の中を生き抜くために、作文力は非常に大切な力だと話す金田一氏。

身近に潜む危険から子どもたちを守るためにも、子どもたちに作文力を身に付けさせてはいかがだろう。

<<金田一秀穂>>

ハーバード大学客員研究員を経て、現在は杏林大学外国語学部教授を務める。日本語学の権威である金田一京助氏を祖父に、金田一春彦氏を父に持つ日本語研究の第一人者。

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