Vol.02 2020年大学受験大変革により「家庭のあり方」が問われる時代に(前編)

---(Vol.02 前編) キーとなるのは読書や会話、家庭での保護者のサポート------

2020年に大学入試が抜本的に変わるというニュースを聞いて、子どもの教育に不安を抱えている家庭は多いのではないだろうか。特に幼児~小学生に関しては学校での教育と同じくらい、保護者が関与する家庭の教育環境が子どもの学力に影響を与えるため、頭を悩ませる保護者も少なくはないはず。

小学校教育の第一人者で、「隂山メソッド」によって子どもたちの学力向上を実現してきた隂山英男氏に、いま家庭でできる対策を伺った。

<<陰山英男 プロフィール>>
立命館小学校校長顧問、立命館大学教育開発推進機構教授。安倍内閣の諮問機関「教育再生会議」委員を歴任。小学館の通信添削学習『ドラゼミ』総監修者。

最も重要なのは幼少期からの「読書と会話」

「お子さんの教育のために、家庭で最も実践していただきたいことは読書です。昔から読み書き計算と言われるように、子どもの勉強は言葉と計算なのです。岸本裕史先生(※)は『学力とは子どもの獲得した語彙の数だ』と明確に記されています。僕がこの言葉にあえて付け加えるならば、語彙の数と同じく、それが瞬時に思い出して使えるようなレベルまで定着させることが必要だ、ということです」

(※)岸本裕史:小学校教師。百ます計算の創案者。「学力の基礎を鍛え落ちこぼれをなくす研究会」(現学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会」)元代表委員

また、読書を通じて獲得した語彙を使えるようにするには、家庭での会話も大切だと続ける。親子での会話を通じて、以下のようなプロセスをふむことが有効だという。

●まずは読書をして、高度な文章を読んでみる

●間違っていても良いので、自分なりにいろいろ理屈を作って表現させてみる

●それを親がチェックしていく。親は子どもの言うことをじっくり聞く。不明な点やちぐはぐな部分があれば「それは何で?」「じゃあ、これはどう?」などの質問を織り交ぜることで理解していく

●親が子どもの話をすべて理解できたら、最初からもう一度、子どもに分かりやすく言い直しをさせる

===アンケート===

●あなたのお子さんは読書をどのくらいの頻度でしていますか?

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「週に1~3回程度」「ほとんどしない」という回答が65%以上を占める。携帯ゲームなどの普及に伴い、読書というカルチャーが子どもたちにとって疎遠になったのだろうか。ドラゼミ調べ 対象:30~40代・子どものいる男女300名 以下アンケートも同じく)

●あなたの家庭内での親子の会話量は十分だと感じていますか?
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「普通」と回答した人が過半数を超えたが、少ないと感じている人が20%に上ったことも見逃せない。

●あなたは会話量が少ない原因は何だと思いますか?

(時間がない・忙しい などが原因)時間のすれ違い、習い事などがありゆっくり話す時間がない、あまり時間がない、仕事をしているため、共働きのため、自分が仕事をしているため、そもそも接する時間が少ない、家事や仕事に追われ育児より優先してしまうため など。

(TVやゲームなどの存在が原因)子どもがゲームなどをしているから、テレビ鑑賞の時間が多い、PCに向かっていることが多い など。

(親・子どもの性格や環境の問題)話すことがない、私が会話が得意でない、本人の性格と親の努力の足りなさ、子どもが親と話したがらない など。

少ないと回答した理由には「仕事が忙しい」「ゲームをしているから」など、現代の社会情勢を反映するような理由が連なった。

会話ができるようになったら、次は書かせてみる

そして会話ができるようになったら、次は書くことだ。

「きちんと会話ができるようになったら、次は書かせてみる。そして会話と同じような問いかけをしながら子どもに考えさせる、いわゆる構成作業をさせるのです。作文や日記は大切だといろんなシーンで言われていますが、実はきちんとした文章が書けないと、きちんと喋ることができません。正しい文章で喋るのは実は大人でもかなり辛いことですが、それだけ身につける価値があるものなのです」

文章を書いて推敲して、主語と述語まですらすら書けることは重要だと隂山氏は言う。これをくり返すことにより、喋った時にも主語と述語が一体化して分かりやすい文章になるのだ。

2020年の大学入試改革を念頭に置いた場合、読書と文章力はますます重要になっていく。文章題については、一つひとつの文章が長文となり、今までになかったような難しい単語が多く出されることが予想される。

書くことについても、スマートフォンで指を使ってフリック入力している程度では追い付かず、長文を書く能力が求められるようになる。自分の手で書くということが重要になるのだ。

家庭の中での会話をグレードアップさせなければならない

さらに、家庭の中での会話もグレードアップさせなければならないと、隂山氏は家庭環境の大切さを説く。

「子どもたちの学習意欲のエネルギーとなるのは、知的好奇心です。宇宙はどのようにしてできたか。今世界はどのように動いているのか。子どもたちは、さまざまなものに関心を持っています。それを日々の会話の中で親が話してあげることが、子どもの知的好奇心を最大限に高めていくことにつながっていくのです。」

しかし、親がさまざまなことを知っていなければいけないということではない。親が子どもと同じ目線に立ち、いろいろなことに興味を持ち、ほんの少しだけ子どもの知らないことを話してあげるだけで十分なのだ。

「逆にこうした機会がなく、日常生活の不平や不満、あるいは人の悪口の話ばかりしていると、子どもたちの学習意欲のみならず、未来に対する力さえも失われていきます」

親にとってはプレッシャーになるかもしれないが、家庭のあり方がより重要になってくるのだ。会話に限らず、読書や文章を書くことにしても、まず親が本を読めて文章を抵抗なく書けなければ前には進まない。

それでは、このような読み聞かせや会話はいつ頃から始めれば良いのだろうか?陰山氏いわく、最も重要なのは「小学一年生」なのだという。

===アンケート===

●家庭内でどんな会話をしていますか?

日々の出来事、生活の全て、その日1日の出来事、テレビの話題、幼稚園でのことや大好きな仮面ライダーのこと、毎日あったこと、保育園でどんなことをしたのか、人生論、学校であった出来事、一日にあった出来事や報道について、学校であったことや友達の話など。

学校や園での出来事を話す家庭が圧倒的に多かった。

---後編 最も重要となる「小学一年生」になにをするべきか へ続く-------

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<<陰山英男>>立命館小学校校長顧問、立命館大学教育開発推進機構教授。安倍内閣の諮問機関「教育再生会議」委員を歴任。小学館の通信添削学習『ドラゼミ』総監修者。

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