文部科学省に聞く!キャリア教育の鍵を握るのは『学校図書館』?~作文力の重要性~

近年の子どもたちの抱えるジレンマ

20世紀後半から始まった情報技術革新によって、社会経済・産業的環境に急速な変化が起こっている。

この急速な環境の変化によって、近年の子どもたちの中には、ある程度の年齢になっても「自分が何になりたいか」を明確にイメージすることができないという現象が発生している。自分が何になりたいかをイメージすることができなければ、当然、「自分の将来にとって本当に必要な学びは何か」を判断することができない。

近年重要視される「キャリア教育」とは 

そんな時代の中で、近年重要性が認知されているのが「キャリア教育」だ。

キャリア教育とは、子ども一人一人の社会的・職業的自立に向けて、本当に必要な能力や態度を育てることを目的とした教育である。つまり、子どもたちに将来の在り方・生き方を考えさせる、そしてその実現に必要と思われる学びを、学校を中心として、地域社会・産業界等と協力しながら推進していくという取組だ。

例えば、様々な職業の職場体験やインターンシップ(就業体験)等の体験活動を行ったり、様々な仕事の現場において活躍されている社会人の講話を聞く機会を充実させるなど、社会について学ぶ等の取組が、各地の学校で実践されている。

キャリア教育と切り離せない「作文力」

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キャリア教育が重要視される中で、今後の子どもたちにはどのような力が求められるのだろうか。文部科学省初等中等教育局児童生徒課長の坪田氏にお話を伺った。

「私たちが着目していることのひとつが、読書を基礎とした作文を書く力です。作文を書く力は、あらゆる職業の基礎となる力です。例えば、わかりやすい文を書く、プレゼンテーションにおいて相手に伝えたい言葉を考える、契約書の内容を作成する。どんな職業においても、文章を作る力は絶対に必要な能力なのです。」

さらにこういった能力は、社会の中でコミュニケーションをとるためのツールともなる。ビジネスシーンだけではなく、家族や友人との関係でも自分の気持ちをうまく伝えて、円滑な人間関係を保つためにも必要だ。

「これからのキャリア教育にとって文章を作る力は、切っても切り離せない存在となるでしょう。」

作文力を身に付けるには小学校の6年間が勝負

そしてこの作文力を身に付けるために最も重要となるのが“小学校の6年間”だという。

「文章を正しく読み、正しく書く力の基礎をつくるのが小学校6年間です。小学校のうちは1人の担任がほとんどの教科を指導するため、担任は国語以外の教科からもその子の作文を書く力を読み取ることもできます」

1人の担任が指導することによって、算数の記述式回答や理科の観察日誌などからその子の文章を書くレベルやクセを読みとり、課題や解決策を的確に導くことができるのだという。

「先生も将来的にどんな職業に就くにしても、文章を書く力が重要ということを認識しています。今後の小学校の教育現場において、こういった能力の重要性が低くなることはないと思います」

最近の子どもたちはメール等で短い文章を書くこともあるが、たくさんの本を読み、得られた語彙や表現力を使ってある程度長い文章を書かなければそうした力を身に付けることは難しいと話す坪田氏。

「“てにをは”などの助詞の使い方や逆接表現などは、長い文章を書かないと定着しないからです。ですから、小学校のうちから作文指導はしっかりと実施すべきではないでしょうか。」

そして、その作文指導に大いに活用できるのが『学校図書館』だという。

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「作文を書く力には、文章を正しく読む力、伝えたい文章を正しく書く力が必要です。そのためにはやはり読書が重要となります。学校図書館には多くの本があり、小説に限らず、図鑑や統計、科学読み物などもあり、本を読むきっかけづくりとして、私たちの身近なところに学校図書館があることを先生や保護者の皆様に意識してもらいたいですね。」

入試でも重要となる作文力

さらに作文力は、就職前の関門となる高校・大学入試等でもその力が問われると坪田氏は話す。

「高校入試や大学入試で作文問題や小論文が課されることはよくあります。記号を選ぶだけの問題やマークシートにはどんどん取り組める子どもでも、作文問題となると何をどう書けばよいか、はたと鉛筆が止まってしまう子も多いでしょう。」

ちなみに作文問題が出題されるのは国語。国語はほとんどの高校入試の最初の教科であるため、ここでつまずいてしまうと気持ちが動揺し、他の教科にも悪影響が出てしまう。その後の教科でベストを尽くすためにも、作文問題は何としても突破したいところだ。

キャリア教育の推進とともに、今後の教育の現場において重要度が高くなることが予測される作文力。特にこの作文力を培うのに重要となる小学校6年間は、学校教育だけに限らず、学校図書館や地域の図書館も使って、保護者も様々な形で子どもたちの作文力を高めるサポートをしてあげても良いかもしれない。

≪取材協力≫ 文部科学省初等中等教育局児童生徒課

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