オトナも読みたい!今月の本ー食べる・食べられる関係の二匹はどうなる?―『ライギョのきゅうしょく』

ドラゼミの問題作成者である佐藤友樹先生が毎月テーマに沿った本をご紹介する「オトナも読みたい!今月の本」。

4月は「敵か味方か、友だちか」、面白い設定の「関係」をえがいた作品を紹介します。

『ライギョのきゅうしょく』

阿部夏丸=作/村上康成=絵(講談社)

 低学年から大人まで 

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今日から仲良くできない関係と言われたら…

ドーナツ池のライギョとタナゴは、仲良く遊ぶ友だちでした。

ところが、さかな学校の1年生になってから、その関係がおかしくなります。ライギョは学校で、追いかける授業を受け、タナゴは学校で、隠れたり逃げたりする授業を受けるのです。

はじめは、おたがいの授業のことを楽しく語り合うのですが、やがて、この授業の本当の意味を知ることになります。タナゴはライギョに食べられないために逃げる授業を、ライギョはタナゴを食べるために追いかける授業を受けていたのです。

なかよしだったタナゴは「ライギョのきゅうしょく」なのだと教えられ、困ります。食べる・食べられる関係のなかで二匹の選んだ生き方は…。

お互いの生き方に深く向き合ったふたり

現実を知った二匹は大変心を痛めますが、ドーナツ池の生き物たちに触れながら、それぞれの種が生きていくにはどうしたらよいのかを学び、よく考え、それぞれの決断を出します。

それまで何の意識もせずに仲の良い友だちとして付き合ってきた二匹が、池の生態系などからお互いを理解していく場面では、ところどころ心に衝撃を受けながらも、答えを求めて突き進む彼らの心情が見事に描写されています。

お互いをよく知り、前向きに歩んでいくふたりの物語。

多くの方がそれぞれの道を歩き出す春にピッタリの1冊です。


【作者】―阿部夏丸(1960~ )作家。 愛知県豊田市出身。名古屋芸術大学卒業。幼稚園絵画講師、書店店長などを経験。川と子供を描く児童文学作品が注目を浴び、「泣けない魚たち」で第11回坪田譲治文学賞・第6回椋鳩十児童文学賞をダブル受賞、「オタマジャクシのうんどうかい」で第14回ひろすけ童話賞を受賞。複雑な子供たちの関係を描く作品は、中学入試にも良く出題されている。


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